自分らしく働く
2018.10.26

フリーランスになる前に必ず知っておくべき納税のコト

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BY Philly

近年、フリーランス人口はどんどん増加しています。実際にフリーランスになった人の多くは、税金の問題に直面した経験があるのではないでしょうか。企業勤めとは違い、働く時間や場所は自由ですが自分自身でやるべき手続きは増えます。本記事では、フリーランスが知っておくべき税金について解説します。税金の知識を蓄え、安心してフリーランスとして仕事を始めましょう!

フリーランスが払うべき税金とは

企業に勤めている人の税金は、企業の総務部や経理部がまとめて処理してくれています。フリーランスになると、自分自身で税金に関する処理を行う必要があります。フリーランスになる前に知っておきたい税金は、5種類あります。所得税、住民税、個人事業税、消費税、そして固定資産税です。各税の内容や納税方法は、税法改正がない限り変わりません。一度覚えてしまえばずっと役に立つ知識なので、この機会に学習しましょう。

税金の種類 納税時期
所得税 3月15日まで
住民税 6月、8月、10月、翌年1月
個人事業税 8月、11月
消費税 3月31日まで
固定資産税(固定資産を持っている場合) 4月、7月、12月、翌年2月

各種税金はどのような税金なのか、次章から順に解説をしていきます。

 

所得税

所得税とは、1月1日〜12月31日の1年間の全所得から、費用や控除を差し引いた金額に課せられる税を指します。所得税がかかる金額を、課税所得金額といいます。所得となる収入の種類は10種類あります。

所得の種類

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

日本は、超過累進税率を取り入れています。超過累進税率では、課税所得金額が増えるほど納税額が増えるよう設定されます。稼げば稼ぐほど、納める税額も大きいという訳です。「たくさん稼ぐほど取られるなんて! 」と思うかもしれません。しかし、所得が少ないのに一律の金額で納税するのも辛い話だと考えると納得できます。

2013年〜2037年の間の所得には、従来の所得税に加え復興特別所得税(復興特別法人税)という税も課せられます。東日本大震災の復興に必要な財源を確保するための税金です。復興特別所得税の納税額は、「所得税額×2.1%」で算出される金額です。

所得税の控除対象

所得税は、2種類の控除を受けられます。控除とは、一部金額を差し引くことです。所得税控除の一つは、所得税納税額を計算する前に総所得金額から差し引かれる控除(A)。もう一つは、総所得金額からAの控除を差し引き、税率の計算を基に算出された所得税納税金額から差し引かれる控除(B)です。

総所得金額から差し引かれる控除(A)

  • 基礎控除
  • 給与所得控除
  • 勤労学生控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄附金控除
  • 障害者控除
  • 寡婦(寡夫)控除
  • 扶養控除

参考:所得控除のあらまし|国税庁

参考: 給与所得控除|国税庁

適用条件が設けられている控除がほとんどです。しかし、基礎控除は一律で適用されます。基礎控除によって、総所得金額から38万円が差し引かれます。その他の控除に関しては、適用条件に当てはまるかどうか国税庁のホームページを確認してみましょう。

Aの控除を差し引くと、課税される所得金額が分かります。その後、金額に応じて税率を掛け合わせ、控除額を差し引き、納税金額が決定します。

課税される所得金額 税率 控除額(B)
195万円以下 5% 0円
195万円超〜330万円以下 10% 9万7500円
330万円超〜695万円以下 20% 42万7500円
695万円超〜900万円以下 23% 63万6000円
900万円超〜1,800万円以下 33% 153万6000円
1,800万円超〜4,000万円以下 40% 279万6000円
4,000万円超〜 45%  479万6000円

参考:所得税額の税率|国税庁

住民税

住民税とは、居住地のある地方自治体に納める税金をさします。住民税は、「均等割」と「所得割」の2種類の納税額の合計です。均等割は、各地方自治体が定めた金額です。一方、所得割は、1年間の所得を基に算出される金額です。

住民税の所得割部分には、控除が存在します。住民税の控除は13種類も存在します。

住民税(所得割)から差し引かれる控除

  • 基礎控除
  • 勤労学生控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 障害者控除
  • 寡婦(寡夫)控除
  • 扶養控除

参考:住民税の所得控除にはどのようなものがありますか。|千葉県

所得税の控除同様、各種適用のための条件があります。基礎控除のみ、一律で適用されます。住民税の基礎控除の金額は33万円です。そのため、前年の1月〜12月の所得から33万円を引いた金額が、課税対象額となります。

納税方法に関しては以下の記事でまとめられていますので、参考にしてみてください。

副業が会社にバレないようにするには? 副業に必要な税金の知識まとめ

個人事業税

個人事業税とは、個人で事業を行なっている人が支払う義務のある税金です。個人事業税は、各地方自治体に納税します。個人で事業を始める際は、開業届の申請を行います。自身の事業が、地方税法で定められた70種の法廷業種に当てはまれば、個人事業税の納税対象となります。

70種の法廷業種(一部)

  • 第1種事業(37種)……税率5%:物販販売業や飲食店業、写真業、広告業など
  • 第2種事業(3種)……税率4%:畜産業、水産業、薪炭製造業
  • 第3種事業(30種)……税率5%または3%:医業、弁護士業、デザイン業、美容業など

個人事業税に対しては、事業主控除が存在します。事業主控除では、年間290万円の控除を受けられます。また、事業専従者給与の控除や、繰越控除を受けられる場合があります。

個人事業税の控除以外にも、事業者が受けられる控除が存在します。「青色申告申請書」は控除を受けるためにはぜひチェックしておきたい知識です。副業に関する税金の記事で、起業に必要な手続きがまとめられていますので、参考にしてください。

副業が会社にバレないようにするには? 副業に必要な税金の知識まとめ

参考:個人事業税|東京都主税局

消費税

普段の生活に馴染みの深い消費税ですが、フリーランスの立場で消費税とどのように関わるべきか分からない人は多いでしょう。そもそも、消費税とはどういった税金なのでしょうか。

消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供と外国貨物の引取りです

出典:消費税のしくみ|国税庁

あらゆるモノ・コト・サービスを消費する際にかかる税金が消費税です。日常生活で、シャンプー(モノ)を購入する際、購入者は定価に加え消費税も請求されていますよね。同様に、フリーランスであっても、自身が提供するモノ・コト・サービスに対して消費税を請求できます。

「消費税をもらう側となるとよくわからないし、8%分くらい請求しなくてもいいや」と思ってはいませんか? それは非常にもったいないです! 例えば、2万円報酬の案件を年24回受注したとしましょう。消費税を含まない報酬合計金額と、消費税を含んだ報酬合計金額の差は、3万8,400円です。2019年10月には消費税が10%に変更される予定です。消費税をクライアントに請求するかどうかによって、報酬の金額差はさらに広がってしまいます。

フリーランスは、決して安定している仕事とは言えません。あなたが受け取れるはずの金額を無駄にしないよう、報酬には消費税を含めてもらいましょう。

消費税納税の注意点

消費税の請求をすると、納税の必要が発生するのではという心配があるかと思います。しかし、必ずしも事業者全員が消費税の納税をしなければいけない訳ではありません

2年前の課税売上高が1,000万円に満たなければ、当年に消費税納税の義務はありません。ただし、1,000万円に満たない場合でも、1年前の1月1日〜6月30日までの課税売上高が1,000万円を超えていれば、納税の義務が生じます。

納税金額は、売上の消費税分から、必要経費にかかった消費税分を引いた差額です。消費税の詳しい算出法は、「消費税のあらまし」第5章を確認してください。

固定資産税

固定資産税とは、固定資産を所有している者に課せられる税金です。固定資産とは、土地や建物など、流動性がなく長期間に渡り利用できる資産をいいます。

固定資産の例

  • 土地
  • 建物
  • 機械
  • 特許権
  • 商標権
  • ソフトウェア
  • 株式
  • 有価証券

固定資産税額は、課税標準額×1.4%で求められます。課税標準額は、所有する固定資産の価値によって定められます。固定資産の現在の価値が課税標準額という金額で表されます。現在、固定資産を所有している人は、役所からの通知書で金額が確認ができます。自身の事業で使用している固定資産は、必要経費として計上できます。例えば、所有している自宅を、事業所として利用している場合が当てはまります。

海外在住フリーランスの場合の納税

日本の住民票を抜く(海外転出届を提出する)と、基本的に日本での所得税や住民税の支払い義務は生じません。国内非居住者(1年以上海外に滞在しており、日本に家や土地などの固定資産を持たない人)であれば、滞在先の税法が適用されます。

しかし、「国内源泉所得」を得た際は、国内源泉所得分のみが課税対象となります。国内源泉所得とは、「対価に値する業務を国内で行い、国内の事業主から受け取る所得」です。日本の企業から所得を受け取っていても国外で業務を行っていれば、国内源泉所得にはあたりません。

例えば、日本に住居を持たない外国籍の映画俳優が日本の企業にキャスティングされ、日本で撮影を行い、給与を得たとします。この場合は、対価に値する業務を国内で行なったため、映画俳優が受け取った所得は日本での課税対象です。

居住国での納税方法は日本とは異なるでしょう。とはいえ、「知らなかったから納税していなかった」という事態は避けたいですね。住み始める前に、一度確認をしてみるのが良いかもしれません。

 

 

いかがでしたでしょうか。初めから税金を理解するのは難しいです。わからない点があれば、積極的に調べたり、専門家に聞いたりして疑問をなくすようにしてみてください。難しいからと放っておくと、控除を適切に受けられない場合もあるかもしれません。周りの知恵を借りながら、正しく所得を得られるフリーランスとして活動しましょう。

最終更新日
2018.10.26

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