海外留学やワーキングホリデーなどで、海外に長期滞在したことをきっかけに「このまま海外に移住をしたい」と考える人は、少なくないと思います。また、日本に住みながらもすでに英語を使う機会が多い人は、海外で働いたり起業をして勝負したい!という気持ちを抱いているかもしれません。
カナダのスタートアップビザは、そんな「起業」と「移住」の両方の夢を叶えてくれる制度です。さらに、カナダの国にとっては、外国の優秀な起業家がカナダでビジネスを起こして成功することで、国の収益を増加させるというメリットがあります。
目次
文化的多様性あふれる国カナダ
カナダには、多くの移民が暮らしています。多くの難民を受け入れているだけあり、外国人が暮らしやすい環境が整っています。アメリカでトランプ政権が発足したときには、カナダの移民局のWebサイトにアクセスが集中し、サイトがクラッシュしました。アメリカに暮らし続けることに不安を覚えた人々が、一斉に移民申請をしたというできごとは記憶に新しいですね。
そんな、外国人が暮らしやすいと言われているカナダですが、特にトロントやバンクーバーなどの都市では、世界中からやってきた移民の文化が混ざり合う光景を目にすることができます。過去に移民者としてやってきた世代の子供や孫たちが大人になり、個々のアイデンティティを誇りながら、別のバックグラウンドを持つ者たちと協力し合って、新たな文化を築いているのです。
多文化が混ざり合い、お互いが尊重し合う環境の中、ビジネスシーンにおいても、個人の違いとそれぞれの能力を認め合いながら働いています。実力があって、それを発揮することができれば、文化の壁は軽く飛び越えることができるでしょう。
カナダのスタートアップビザは、そんな環境の中で挑戦をしたい起業家の移民者を受け入れるためのプログラムなのです。
カナダのスタートアップビザ
カナダのスタートアップビザは、2013年から5年間にわたって試験的に計画されました。その当時、5年間の間に成功例が出た場合には、政府が本格的に新しい移民者向けのカテゴリーとして採用するという計画を立てました。その結果、100人以上の起業家が永住権を得て、約70もの新規ビジネスが立ち上がる成功例が出ました。
2018年になり、スタートアップビザは晴れて恒久プログラムとなったのです。
カナダのスタートアップビザを申請できる起業家
カナダの移民局のウェブサイトの情報を参考に「スタートアップビザ」について解説します。
カナダのスタートアップビザは、カナダでビジネスを成功させる可能性を持つ、次のような起業家をターゲットとした移民プログラムです。「革新的であること
- 革新的であること
- カナダ人に対して仕事を創造すること
- 世界規模のビジネスに匹敵すること
上記に該当するビジネス案を持っていて、さらに政府が指定する機関からの助成を受けることができれば、カナダに移民する資格が与えられます。
カナダで起業するメリット
カナダが起業する場所として適している主な理由は以下のとおりです。
- 経済の強み
- 税率の低さ
- 事業経費の安さ
- 研究と革新における優秀さ
- 上質な暮らし
経済の強みは、アメリカや日本にはまだ匹敵しませんが、これから高い経済成長を期待できるのは事実です。また、大学やカレッジの学費が日本よりも安いので、多くの人が高度な教育を受けることができ、優れた人材に出会えます。
何よりも、質の良い生活を築けることは大きな利点ですね。カナダ人は、仕事よりも日常生活や家族との時間を大切にするという考え方を持っている人が多いです。そのためワーク・ライフ・バランスが充実しているのです。
カナダのスタートアップビザの申請資格
カナダのスタートアップビザを申請するための、申請資格は大きく分けて4つあります。
ビジネスの能力を持っている
カナダでスタートアップビジネスを行うために、以下の条件が必要となります。
- ビジネスにおける優先出資社員が、それぞれ10%以上の議決権を持っていること(最大で5名が優先出資社員として申請することができます)
- 政府指定の機関と申請者が、合計50%以上の議決権を持っていること
- 永住権を獲得する時点で、カナダ国内において活発で継続的なビジネスを提供していること
- ビジネス操業の基本的な部分は、カナダ国内において行われていること
- ビジネスはカナダにおいて法人化の手続きを行っていること
指定の機関から助成を受けたことを証明できる
スタートアップビザを申請する前に、必ず用意しなければならない書類があります。それは、カナダの政府が指定する機関から助成を受けたことを証明するサポートレターです。サポートレターは助成を出してくれた機関から取得します。
カナダ政府が指定する機関とは、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家、ビジネスインキュベーターなどです。これらの機関の一覧は、カナダ移民局のサイトから確認できます。必要な最低投資金額も確認できます。
指定機関からのサポートに関して:Get the support of a designated organization(英語)
必要な言語の条件を満たしている
英語かフランス語、もしくは両方の言語でコミュニケーションを取って仕事をする能力が、カナダでのビジネスを成功へと導きます。スタートアップビザの申請には、英語の能力を測るテスト「CELPIP」もしくは「IELTS」、フランス語の能力を測るテスト「TEF」を受けて、そのスコアがCLB5以上を満たしていることが必要条件です。
- CELPIP(Canadian English Language Proficiency Index Program)
CELPIPはカナダでの進学や、移民の申請の際に有効となる、カナダの英語の試験です。テストはジェネラルとアカデミックの2種類がありますが、スタートアップビザの申請をする際はジェネラルのテストで獲得したスコアの証明が必要になります。スピーキング、リスニング、リーディング、ライティングの4つの部門でそれぞれ、スコア3以上を取ることができれば、CLB5以上とみなされます。
- IELTS(International English Language Testing System)
IELTSは国際的に採用されている英語の試験です。こちらもジェネラルとアカデミックの2種類がありますが、スタートアップビザの申請をする場合は、ジェネラルのテストを受けます。スピーキングで5点、リスニングで4点、リーディングで5点、ライティングで5点以上を取ることができれば、CLB5以上とみなされます。
- TEF(Test d’évaluation de français)
フランス語の能力を測るためのテストがTEFです。カナダの公用語は、英語とフランス語なので、英語よりもフランスが得意な人はTEFを選択します。スピーキングで225点、リスニングで180点、リーディングで150点、ライティングで225点以上を取ることができれば、CLB5以上とみなされます。
スタートアップビザの申請における言語テストの点数は、どれも中級レベルのスコアが求められています。ビジネスを行う上での最低限の言語能力が求められているように思えます。
例えば、カナダで進学をする場合は、IELTSの6.5点以上を求められます。しかし、スタートアップビザの申請のための必要スコアは、それよりも1.5~2点低く設定されています。言語よりも、ビジネスの能力を優先するという配慮が感じられますね。
定住するための十分な資金を持っていること
カナダ政府は、スタートアップビザで移民をした人に対して、金銭的なサポートはしていません。したがって、カナダに到着してから、自身とその家族が生活をしていくために、十分な資金を持っているのかを証明することが必要です。
金額は家族の人数によって変わります。さらに、毎年金額は変更されるのですが、2018年の時点では以下の通りです。
- 1人:$12,475
- 2人:$15,531
- 3人:$19,093
- 4人:$23,181
- 5人:$26,292
- 6人:$29,652
- 7人:$33,014
※以降1人追加ことにプラス$3,361
変更が生じる場合があるので、申請の際には必ず移民局のウェブサイトで確認をしてください。
定住するための十分な資金を持参する:Bring enough money to settle(英語)
カナダは世界中の優秀な起業家が集まってくることを望んでいます。政府が求めている革新的なビジネスプランがあれば、カナダでの起業と移住は夢ではありません。特にITの分野で成長が見込まれているカナダにて、一旗揚げてみませんか?
※カナダでのビザ申請手続きは、予告なく変更されることがあります。正しい情報はカナダ移民局のウェブサイトにてご確認ください。また、ビザ申請の手続きは移民専門の弁護士や有資格者に相談の上、慎重に行ってください。 |