自分らしく働く
2018.08.09

“安定”の性質が変わっていく時代だからこそ、個人の力を高めよう

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BY media

社会人大学シリーズ第2回。この記事ではなぜ社会人大学が必要なのか、提唱の背景を日本の社会状況から掘り下げていきます。

少子高齢化に端を発し、生産年齢人口の減少、社会保障費の増加が起こっています。また、経済成長率の鈍化や従業員の価値観の変化などにより、企業は終身雇用制度を保てなくなっています。さまざまな問題を抱える日本は、世界から課題先進国と呼ばれています。

私たちは5年、10年先を見通せないほど、目まぐるしく変わっていく時代に生きています。何をもって“安定”とするか、今までの定義が変わっていくでしょう。

時代や社会状況に左右されずに生きていくために、「個」の能力を高めましょう。

大企業=安定という時代の終わり

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大企業に入社すれば、安定して働けるという時代は終わります。これからは「価値を生み出す仕事」をできる人が必要とされる時代です。IT技術でさまざまな業務の効率化が進んでいる昨今、ビジネスパーソンは仕事の生産性を高めて、多くの結果を残さなければなりません。

大手3銀行の人員削減発表

2017年にメガバンク3社(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)が大規模な人員削減を発表したと日経新聞が伝えています。人員削減規模は3社合計で3万人近く。IT技術で業務を効率化することで、過剰な人員の削減と経営の安定化が目的。日銀の超低金利政策によって、銀行がコスト削減を迫られた結果です。

銀行はAIやRPA(Robotic Process Automation)などの最先端のITテクノロジーを用いて業務効率化をしていきます。そのときなくなる仕事は、やはり事務や窓口などの「単純作業」の業務を担う人たちです。

景気が悪くないのになぜ?

経済が落ち込み景気が悪い時代にリストラが起こるのはよくあることです。2008年9月15日にリーマンショックが起こり、翌日の日経平均株価は11,000円台まで落ち込みました。そして景気が冷え込む中、大規模な人員削減が至るところで行われました。

しかし、銀行で大規模な人員削減が発表された2017年は、日経平均株価が22,764円で終了しています。株価はリーマン・ショックの時よりも2倍以上の値を示しているに人員削減が行われている状況です。企業は業績を向上させるために、ITシステムを導入し業務効率化を推進し、余剰人員を削減。ダウンサイジングを進めているのでしょう。

国の制度=安定という時代の終わり

少子高齢化と増え続ける社会保障費の影響で、日本の社会保障制度の存続に大きな不安が生じています。このままでは、社会保障制度が崩壊してしまう可能性があります。

社会保障制度の危機

社会保障給付費の見通し

総合研究開発機構(NIRA)の「社会保障に係る費用の将来推計の方法及び手順について」を参照しましょう。NIRAの資料によると医療や介護、年金などの社会保障給付費の予算は、2016年度には116.2兆円でした。しかし、2041年度には190.7兆円に増えると予測されています。

問題なのは、高齢者が増加する一方、経済や社会保障制度を支える「生産年齢人口」が減少し続けている点です。

少子高齢化が社会保障制度の危機の原因

人口の推移

出典:人口減少社会の到来|総務省

総務省の資料「人口減少社会の到来」によると、2015年の生産年齢人口(15〜64歳)は7,592万人でした。しかし、2040年には5,783万人まで落ち込むと予測されています。

社会保障給付費は増え続ける一方、経済を支える人たちは減り続けます。年金受給をあてにした人生設計は、考え直したほうがいいでしょう。国の制度に頼ることを前提にしていると生活できなくなる時代が来るかもしれないからです。

働くことのマインドを変えよう

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会社に所属し、指示を受けて仕事するというマインドでは、必要とされる人財にはなれません。これからは、成果を残した人が評価される時代になるはずです。

自分を成長させるための手段として会社に所属するというマインドを持って働きましょう。会社に頼らずに生きていくための、「個」の力を高めていけるはずです。

終身雇用/年功序列ではなく生産性を追求する企業

GDPと経済成長率の比較(世界銀行をもとに作成)

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
中国

 

GDP(USD) 8.56兆 9.6兆 10.48兆 11.06兆 11.19兆 12.23兆
成長率 7.85% 7.75% 7.29% 6.9% 6.7% 6.9%
韓国

 

GDP(USD) 1.22兆 1.3兆 1.41兆 1.38兆 1.41兆 1.53兆
成長率 2.29% 2.89% 3.34% 2.79% 2.92% 3.06%
インド

 

GDP(USD) 1.82兆 1.85兆 2.03兆 2.1兆 2.27兆 2.59兆
成長率 5.45% 6.38% 7.41% 8.15% 7.11% 6.62%
日本

 

GDP(USD) 6.2兆 5.15兆 4.85兆 4.39兆 4.94兆 4.87兆
成長率 1.49% 2.0% 0.37% 1.35% 0.93% 1.71%

終身雇用や年功序列などの制度はなくなりつつあります。原因はグローバル化と伸び悩む日本経済です。中国や韓国、インドなどの隣国は、GDPが毎年増加。順調に経済が成長しています。一方日本は、2013年にGDPが減少してから、経済が回復できていません。

グローバル化で企業の競争は一層激しさを増しています。日本企業がグローバル経済に対応するためには、生産性を向上させなければなりません。そのためには徹底した業務効率化が必要です。生産性を突き詰めたときには、終身雇用と年功序列の制度を保つことはできなくなるでしょう。

企業は社員の一人ひとりに生産性の向上を求めます。優秀な人が、能力に見合った対価を受け取る制度が今後できあるはずです。会社が仕事を与えてくれて、定期的に出世させてくれる時代は終わりました。仕事で成果を残し、自分の価値を高めるために働きましょう。

価値を生み出せる人財になろう

生産性向上を追求するとき、企業は必ずテクノロジーの導入を検討します。AIやRPAなどの最先端テクノロジーが、ホワイトカラーの単純な業務を簡略化していくでしょう。財務や経理、人事等のバックオフィス業務を担う人は少なくなるはずです。

業務効率が進んだときに仕事を奪われないためには、価値を生み出すクリエイティブな仕事をする必要があります。

商品や企業、サービスのプロモーションの企画をたてるのはクリエイティブな仕事です。また、ITシステムを活用して100人分の経費精算をできる人は、生産性と言う価値を生み出していると言えるでしょう。

新しい「安定」のベースはITスキル

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今やPCやスマートフォンを一人一台持つことが当たり前になった時代です。さまざまなシステムがIT化されビジネスの効率化が進み、生活は便利になっています。

更にIoT(Internet of Things)で、あらゆるモノがインターネットに接続されます。AIやビッグデータ活用が広がり、新たなビジネスチャンスが次々と生まれています。

これからの時代、IT技術は必須スキルです。ITスキルを持っていれば、価値を生み出せる人財になれるでしょう。

ITスキルが当たり前になる時代が来る

経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2015年時点で約17万人のIT人材が不足しており、2030年には約59万人まで拡大するだろうと言われています。IT人材の需要は爆発的に拡大しています。

2017年3月発表の学習指導要領「生きる力」の小学校指導要領(文部科学省)に、2020年度から初等教育でプログラミング教育が必修化することが明示されています。これはIT人材不足の解消を目指しています。これからの子供たちは、義務教育でプログラミングを学ぶようになります。

スキルさえあれば安定して稼げるITエンジニア

業種 平均年収
総合商社 478万円
IT/通信 466万円
メーカー 465万円
メディカル 453万円
金融 450万円
建設/プラント/不動産 419万円
インターネット/広告/メディア 413万円
専門商社 406万円
サービス 379万円
小売/外食 359万円

(出所:平均年収ランキング2017|DODA)

ITエンジニアの需要は世界規模で拡大中です。DODAの「平均年収ランキング2017」の業種別平均年収ランキングを見てみましょう。IT/通信業の平均年収は、総合商社に次いで2位という結果が出ています。

深刻なIT人材不足をうけて、プログラミングの無料学習サービスやスクールなどが増えてきました。手厚い研修で、未経験の人をエンジニアに育てる企業も多くあります。

ITの基礎を身につけ、スキルアップの努力を重ねていけば、どこでも誰とでも働ける「個」としての能力を手に入れられるでしょう。

 

 

グローバル化で競争が激化しているなか、日本は生産年齢人口が減少し続けています。労働力が少なくなっている今だからこそ、個人がより多くの価値を生み出さなければなりません。

会社は社員を40年雇用することはできなくなるでしょう。社会保障制度もいつ限界を迎えるかわかりません。組織や制度に頼らず働けるスキルを身につけましょう。

「個」としての能力が高ければきっとどこでも生きていけます。より多くの人が「個」の力を高められれば、日本経済の成長にもつながるはずです。

最終更新日
2018.08.22

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