自分らしく働く
2018.08.23

新しい企業の形「社会人大学」の定義と制度

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BY media

社会人大学を紹介するシリーズ最終回。企業が社会人大学としてあるための定義や制度を解説します。社会人大学は、企業として営利活動をする一方、在籍する学生(=社員)が成長するための制度作りや環境整備を行わなければなりません。メンター/メンティー制度やゼミ制度など、学生(=社員)が安心して働きながら成長できる環境作りを紹介していきます。

社会人大学の定義

DEFINITION word cloud, business concept

企業が社会人大学としてあるためには、以下の12の制度を整える必要があります。

項目
1 社会人大学自身の方向性に加え、社会人学生のキャリアアップ支援をその役割とする。
2 入学後に学べる技術・知識を明確にした学部・学科を設置している。
3 部署・プロジェクトの配属は、学生(=社員)のキャリアアップの方向性を尊重する。
4 雇用対策法に準じて入学希望者の合否を決める
5 毎年4月に入学式(=入社式)を原則行う。
6 ビジネスマナーに関する研修を8時間以上提供している。
7 メンター/メンティー制度を設置している。
8 業務時間外のゼミ制度を設ける。
9  複業を認める。
10 原則1年間の休学(=休職)を認める。
11 残業が必要な場合は、「時間外労働の限度に関する基準」に則して業務を命じる。
12 在学生からの他者入学推薦状を必ず受け取る。

各制度をそれぞれ解説していきます。

1.社会人大学は学生(=社員)のキャリアアップとその支援を役割とする

社会人大学を実践する企業のミッションは人財の育成です。学生(=社員)が理想のキャリアプランを実現できるようにサポート。研修を行い、理想のキャリアプラン達成に直結する業務のみを任せて、キャリアアップを支援します。

企業で働く社員は一般的に、企業のミッションを達成するために働いています。一方、社会人大学の学生(=社員)は、企業のミッションのためではなく、自分の目標や夢のために働きます。

社会人大学は、学生(=社員)一人ひとりが自分のペースで成長して、自分らしく働ける環境環境を作ります。

2.入学後に学べる技術・知識を明確にした学部・学科(=部署)を設置している

学生(=社員)が専門的な技術や知識を身に付けられるように、ある分野に特化した学部・学科(=部署)を設置している必要があります。学生(=社員)が理想のキャリアプランを実現できるかどうかを確認できるよう、社会人大学は仕事内容やプロジェクト情報を公開しなければなりません。

社会人大学の学部(=部署)の一例
  • ITエンジニア学部
    ・ネットワークエンジニア学科
    ・サーバエンジニア学科
    ・システムエンジニア学科
  • マーケティング学部
    ・デジタルマーケティング学科
    ・グローバルマーケティング学科
  • コンサルタント学部
    ・経営コンサルタント学科
    ・ITコンサルタント学科
    ・人材コンサルタント学科

3.部署・プロジェクトの配属は、学生(=社員)のキャリアアップの方向性を尊重する

社会人大学の学生(=社員)は「自分は〇〇になりたい」という明確なキャリアプランをもっています。また社会人大学は、学生(=社員)のキャリアの方向性を最大限に尊重します。そのため、キャリアアップにつながる部署やプロジェクトにのみ学生(=社員)を配属します。

日本企業ではしばしばジョブローテーションが行われています。営業部から人事部に異動したり、マーケティング部から営業部に異動したりするでしょう。その結果、多くの人がゼネラリストとしてキャリアを重ねていきます。人に仕事をつけるという日本的な考え方が根底にあるでしょう。

一方社会人大学では、専門分野をまたいだジョブローテーションを行いません。学生(=社員)が成長できるように、専門分野内で少しずつレベルを上げてジョブを変えていきます。仕事に人をつける「ジョブ型」の考え方で、学生のキャリアアップを実現します。その過程で、学生は専門的なスキルや実務経験を得られます。

4.雇用対策法に準じて入学希望者の合否を決める

社会人大学は入学者を選定する際、雇用対策法に凖じて合否を決めなければなりません。

第一〇条 事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

出典:雇用対策法第一〇条(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)|houko.com

5.毎年4月に入学式(=入社式)を原則行う

社会人大学には成長意欲が高い人が集まります。学生(=社員)が成長するためには、研修やプロジェクト配属などの制度だけではなく、苦楽を共にする仲間が必要でしょう。

入学式(=入社式)を行い、同期の学生(=社員)がお互いに刺激し会える環境を整えます。

6.ビジネスマナーに関する研修を8時間以上提供している

社会人大学は、成長意欲がある人であれば、キャリアの有無にかかわらず受け入れます。学生(=社員)が理想のキャリアを実現するためには、専門的な技能の他に、基礎的なビジネスマナーが必要です。

報告・連絡・相談やセキュリティに関する知識、社外の人と会う時の作法など、ビジネスマナーを身に付けられる研修を用意しなければなりません。合計8時間の研修を受ければ、学生(=社員)は安心して業務に取りかかれるはずです。

7.メンター/メンティー制度を設置している

先輩(メンター)が新入生(メンティー)のアドバイザーとしてキャリアアップをサポートします。これが社会人大学の「メンター/メンティー制度」です。新入生(=メンティー)には専門分野を同じくする人が先輩(=メンティー)としてつきます。

社会人大学に入学したばかりの学生(=社員)は、キャリアの方向性やスキルアップについて悩みや迷いを抱えることがあるでしょう。そんなときに、自分のキャリアの先を行く先輩(=メンター)がいれば、安心して悩みを相談できます。

8.業務時間外のゼミ制度を設ける

キャリアアップのためには学び続ける姿勢が欠かせません。学生(=社員)がお互いの学びをシェアできる場としてゼミ制度が必要です。

業務時間外でも学びを深められる場があれば、学生(=社員)のスキルアップにつながります。

9.複業を認める

学生(=社員)はキャリアアップをするために社会人大学で働いています。学生(=社員)のキャリアップにつながるのであれば複業を認めなければなりません。社会人大学は多様な働き方を実践できる場所であるべきです。

10.原則6ヶ月の休学(=休職)を認める

社会人大学を実践する企業は、学生(=社員)がスキルアップのために留学を希望した場合、原則として6ヶ月の休学(=休職)を認めなければなりません。

11.残業が必要な場合は、「時間外労働の限度に関する基準」に則して業務を命じる

社会人大学は、個人の成長のためという名目で、学生(=社員)に長時間労働や残業を強制してはいけません。労働時間は労働基準法第32条を守り、残業は「時間外労働の限度に関する基準」に則して命じなければなりません。

第三二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

出典:労働基準法第三二条(労働時間)|houko.com

時間外労働の限度に関する基準:残業時間の限度

12.在学生からの他者入学推薦状を必ず受け取る

社会人大学は、在学生からその知人や友人の推薦状を渡された時に、推薦状を必ず受け取らなければなりません。推薦された人を入学させなくても問題ありません。しかし、他の応募者同様に選考しなければなりません。

 

 

社会人大学の定義や制度について解説してきました。成長意欲がある人のキャリアアップを最大限にサポートすることが社会人大学の役割です。社会人大学は、学生をサポートするために本記事で紹介した12の制度すべてを整える必要があります。

個人の成長やキャリアアップをサポートする企業が増えていけば、働くひとはより自分らしく働けるようになるのではないでしょうか。

最終更新日
2018.08.23

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