Earth Labでは、ミレニアル世代(1980年〜1999年生まれ)の働き方に関するインタビューをお届けしています。
働き方や生き方の選択肢が増えています。本業を持ちながら、第2のキャリアを持つ「パラレルキャリア」という働き方を実践すれば、自分らしく自由に働けます。
今回は「クリエイター×パート」でパラレルワークをしているつぐりさんのインタビューを前後編に分けてお届けします。インタビュー前編では、未経験でもクリエイターとして働けるようになった経験を紹介していきます。
Twitter:つぐり@クリエイティブロガー
クリエイター×パートの働き方
−つぐりさんの今の働き方を教えてください
レンタルショップの店員と医療事務の仕事を掛け持ちしています。週6日ほど医療事務の仕事をしていて、診療が午前しかない日には、レンタルショップで働くことも……。
クリエイターとしては、イラストやWebサイトのバナー、ロゴを制作しています。1日の仕事時間は3〜4時間程。医療事務の職場は、午前診療が終わって午後診療が始まるまで4時間あくので、その時間を使って作業をしています。また、7月に結婚したため、主婦として家事をする時間があります。仕事のスキマ時間と家事の合間にイラストやデザインの仕事をするようにしていますね。

つぐりさんのイラスト作成過程
−今はどんなイラストを受注していますか?
メインの仕事はキャラクターデザインが8割で、動物のイラストのご依頼が特に多いです。その他には広告バナーやサイトのヘッダーロゴの制作をしていて、たまにライターとして記事を寄稿することもありますね!
当初、仕事はイラストだけでした。イラストの勉強をしていくと、デザインの領域にも足を踏み入れるんですよね。学んだことを応用して新しい仕事にチャレンジしています。
−クリエイターとして活躍中ですが、専門学校で絵を集中的に学んだ経験はありますか ?
意外……と思われることが多いのですが、一切ないんですよ。自分の好きな絵しか描いてきませんでした。本当に趣味が高じて仕事につながっています。誰かに師事した経験はありませんし、学生時代に美術部に入っていた経験もありません。
−どうやって学んできましたか?
YouTubeとかニコニコ動画で、イラストのメイキング動画を見て勉強しました。あとは本も買いましたね。とにかく誰かがオープンにしているノウハウをインプットして、自分で手を動かして作品を作っていました。
特に高校生のときに絵を描いていたんですが、pixivにアカウントを作ったり自分のサイトを作ったりして絵を投稿していましたね。ただ見てくれるのは友人くらいでした。
−すべて独学で学んできたんですね。独学だから良かったことはありますか?
そうですね。SNSやブログで情報発信していると、作品を見てくれる人がいます。その中には、すべて独学で制作していることに興味を持ってくれている人が多いのではないかなと感じていますね。
キャリアなしでも、積極的に行動すればクリエイティブを仕事にできる

つぐりさんが小林亮平さん(@ryoheifree)に納品したイラスト。初めて受注したイラストの仕事でここからキャリアが広がっていった。
−クリエイターとしてのキャリアがない中で、どうやって最初の仕事を受注しましたか?
『BANK ACADEMY』という仮想通貨ブログを運営している小林亮平さん(@ryoheifree)が、イラストを描ける人を探すツイートをしていたんです。小林さんに自分から声をかけて仕事をいただけました。仮想通貨を優しく解説するためにキャラクターが欲しいという依頼でしたね。ペンギンのイラストをアイキャッチや吹き出しのアイコン、バナーなどに使えるように制作して納品しました。
自分のブログ『tsugurism』をポートフォリオとして利用し、Twitterでは自分の作品を発信しています。実績が増えるにつれて、ブログで私の作品を見て、仕事を依頼してくれる人が増えていきました。
−イラストの仕事からどうやってデザイン領域まで仕事の幅を広げていきましたか?
ペンギンのイラストの仕事をしたのが、2017年の10月あたり。初めての仕事だったんですが、ありがたいことに好評をいただきました。そこから「バナー広告作れる? サイトロゴ作れる?」といろんな仕事の相談をいただけたんです。自分のイラストを活かして作れるものであれば、今に至るまで、できる限り仕事を引き受けていますね。広告バナーやロゴに関しては、デザイン領域の知識も必要なので、常に勉強を心がけています。
イラストにプラスアルファのスキルを増やしていって、新しい分野の仕事が徐々に広がっていったという感じです。実績ができたので他のクライアントとの仕事も増えていきました。
デザインの勉強をしている時に色についても学ぶようになり、その結果、Webサイトのカラー選定のお仕事もいただけるようになってきました。たとえゼロからのスタートでも、学ぶ意欲があって、幅広い知識とスキルを得られる環境を作れば、どこにでもチャンスが落ちていると思っています。
イラストからデザイン、デザインからカラー選定など……仕事の幅がどんどん広がっているイメージです。今に至るまで学んだことが、全て仕事に全部繋がっているのでありがたい限りですね。
最近は、作業環境を整えるためにiMacとiPad proを購入しました。しっかり作業に取り組める環境ができたので、これからもどんどんクリエイティブな仕事を増やしていきたいと思っています。
次の挑戦は、ゲームのイラストレーター
−自分の作品を作成する時間も作っていますか?
パートやクリエイターの仕事の合間に、自分のオリジナルのイラストを制作しています。ただ、まずは仕事が一番だと思っているので、自分の作品作りは息抜きの範囲ですね。

つぐりさんのオリジナルイラスト
自分が描きたいな〜と思っている絵はありますが、自分に対して需要がなかったので仕事にはできていません。ただ、将来的にはオリジナルの作品で仕事を貰えるようなりたいですね!
そのために自分が作れる作品は、趣味や仕事に関わらず、オープンにTwitterで発信しています。今はいろんな仕事をやってみたいと思っているので、できる限りたくさんのことに挑戦していきたいです。
ありがたいことに、自分のオリジナルの絵のタッチを気に入っていただけて、いつもと違う画風のお仕事をいただけました。私の場合は、どんなことでも、発信することが仕事につながっていますね。
−クリエイターの仕事は今後どのように広げていきたいですか?
今のクライアントは、9割がネットで仕事をしている方々です。ゆくゆくは、ゲームのイラストの仕事を受注したいと思っています。実は……学生時代の夢は、イラストでお金をもらうこと。更に言えば、ゲームのイラストレーターになりたかったんです。
もともと美大志望でしたが、事情があって行けませんでした。高卒で美容師になったときに、一度イラストレーターの夢は途絶えています。パラレルワークをするようになって、夢のひとつだった自分のイラストでお金を稼げるようになりました。次は学生時代の夢に挑戦しようと思っています。
−つぐりさんが自分の絵を仕事にできると実感できたのはどんなときですか?
イラストの仕事を始めた当初は、自分のイラストにどれくらいの価値がつくか分からずに悩んでいました。同じような悩みをもつ人はたくさんいると思いますが、 まずは仕事を探して応募してみるのが大事かなぁ……と。
私の最初の仕事はペンギンのイラストで、その仕事は、募集の時点で報酬が2,000円と明記されていました。応募して採用されたときに「私のイラストには2,000円の価値があるんだ」と知れたんです。納品後の評判が良かったので、イラストを仕事にしていく自信がつきました。
当初、仕事を受注する際の金額は3,000円でしたが、今は5,000円に設定しています。料金を上げたのは周囲から高評価をいただけたからです。今でもイラストの値段に悩んでいますが、周りからの評価で自分の価値が決まるのがクリエイターだと思っています。
自分がどれだけの報酬が欲しいのか、それに見合ったスキルが有るのかなどは、仕事をしていくうちに、少しずつ分かってくる部分もあるんじゃないでしょうか?
最初は自分の価値が分からなくて悩む人が多いと思います。そんな人は、予算や納品物が明記されているお仕事に応募してみましょう。仕事を受注できたら自分の価値が分かります! ココナラなど、自分のスキルを売買できるサービスを使ってみるのもいいと思います。
SNSで「無償でイラストを描きます」と投稿して、制作するのもありですね。その後「あなたはこのイラストにいくらの値段をつけますか」というアンケートを取ると、実績作りついでに料金を決める目安も得られるので。
クリエイターとしてのキャリアがなくても、積極的に行動すればクリエイティブを仕事にできます。つぐりさんのように、情報発信を続け、学び続けてできることを広げていけば
道が拓けるでしょう。インタビュー後編では、つぐりさんがパラレルワークをするために、どのような環境作りをしていったのかを紹介します。