ゆくゆくは転職したいけれど、いつにしようか悩んでいる人は多いのではないでしょうか。今回は転職のタイミングを考える際のポイントを、年齢やライフイベントから考えます。また、転職を成功するためのタイミング、損をしないために気をつけるべきこと、退職を上司に伝えるタイミングについても解説していきます。
目次
転職タイミングの考え方は大きく分けて2つ
転職を成功させるためのタイミングは主に2つあります。1つは人材マーケットの盛り上がりにあわせる方法。もう1つは自分自身のライフイベントにあわせる方法です。
人材マーケットの盛り上がりに合わせる
収入アップやキャリアアップのために転職したい人は、有効求人倍率が上がる時期を狙って転職することをおすすめします。理由としては以下の2点が挙げられます。
- 転職先企業の選択肢が増える
- 給与や労働条件などを比較検討して転職を進められる
しかし、最近では通年で採用している企業や、ポストが空いたりプロジェクトを開始したりというタイミングで、採用活動をする企業もあります。働きたい企業がある場合は、日ごろからその企業のホームページや求人情報サイトなどで求人情報をチェックするようにしましょう。
自分のライフイベントから逆算する
転職のタイミングを自分の人生計画に合わせるのもいいでしょう。結婚や出産、住宅購入、引越、子育て、介護などで現在の労働環境とのミスマッチが起こることは多々あります。そうしたライフスタイルが変わるタイミングで、よりフィットした労働環境を手に入れるために転職をするのも1つの手と言えるでしょう。
成功する転職のタイミング4選
転職を成功させるためのタイミングは、転職の目的や転職者の状況によって異なります。ここでは転職の目的をキャリアアップ、出産・育児、20代、30代に分けて、目的別に転職を成功させるためのタイミングを解説します。
キャリアアップのための転職タイミング
キャリアアップを目的とした転職で成功するためには、以下の3つのポイントを考慮して時期を定めましょう。
不満や不安を抱えて転職しない
現在の職場や仕事内容に対しての不満や不安から転職したいと考えている場合は、一度落ち着いて考えてみましょう。人間関係や仕事内容への不満や不安を抱えて転職したとしても、同じような不満や不安が絶対になくなるとは限りません。また、転職の理由が不満や不安などのネガティブな内容では、採用企業も求職者を採用したいと感じません。
不満や不安から視点を変えて、「どういう仕事がしたいか」、「どういう働き方をしたいのか」を考えてみるといいでしょう。
資格を取ってから転職する
キャリアアップのために転職するのであれば、資格を取ってから次の仕事を探すのもおすすめです。自分の経験にさらに活かせる資格をプラスすることで、給料アップやキャリアアップが叶いやすくなります。また、資格を取得したという事実から、企業に自分の熱意や本気を伝えることもできます。
ただし、資格をアピールしすぎると、企業は「この求職者は資格が活かせないポジションへの異動を嫌がるかもしれない」という印象を与える可能性があります。アピールは、ほどほどにしておくのがいいでしょう。
未経験分野に挑戦するなら20代のうちに
未経験の業界や職種にキャリアチェンジをしたい人は、なるべく20代のうちに転職するようにしましょう。これは20代の方が新しい環境や企業のやり方に柔軟に対応できる、と考えられているためです。また、30代以降の転職では希望する業界や職種の経験を持っていることが前提です。業務経験に加えて、マネジメントのようなプラスアルファの経験が求められます。
未経験分野で長く働きたいという人は特に、20代のうちにその分野の知識や技術を身につけて、30代以降の自分の市場価値を高めていきましょう。
出産・育児のための転職タイミング
出産・育児のタイミングと転職のタイミングはどのように考慮するのがいいのか、悩みを持っている人も多いのではないでしょうか。出産休暇と育児休暇の違いについて確認しておきましょう。
出産休暇は労働基準法で定められている休暇です。出産前の6週間と出産後の8週間は休暇を取得する権利があります。
一方、育児休暇は育児・介護休業法で定められています。その中には「雇用された期間が 1 年に満たない労働者」は対象にならないという規定があります。つまり出産休暇と異なり、転職後1年以内に育児休暇を取得する権利は、法律では保障されていません。ただし、転職後1年以内の人でも育児休暇を取れる制度を整えている会社もあります。
転職の前後で出産・育児を考えている人は、現在の職場と転職した場合と、どちらがより希望に沿った働き方ができるのかを確認しましょう。
20代が転職するタイミング
20代で転職をする場合は、どのようにタイミングを決めるべきなのか。ここではよく言われる「新卒入社3年」をキーワードに20代が転職するべきタイミングを解説していきます。
最低3年は1つ目の会社で働いたほうがいい?
20代で転職をする場合、3年程度は1つ目の会社で経験を積んでいたほうが転職が成功しやすくなるでしょう。企業は、3年間の勤続経験があれば、求職者が以下のスキルを持っていると判断します。
- 最低限の知識技術、ビジネスマナーが身についている
- 忍耐力、継続力がある
現在の職場で知識や経験、ビジネススキルをどのように培ってきたのかを、具体的なエピソードで伝えることが肝心です。そうしたエピソードから企業は、「この人はうちの会社でも活躍してくれるだろう」とイメージができ、採用につながりやすくなります。
やりたいことが見つかったなら、入社3年未満で辞めるのもあり
体力があって柔軟に思考できる20代の時間は、とても貴重です。本当にやりたいことが見つかったなら、自分の理想の働き方を叶えるために転職を考えてもいいでしょう。希望する職種のスキルを自分で磨きながら、転職活動をしましょう。
また、自分で仕事を作り出せるスキルが有るならば、フリーランスという選択肢もあります。大事なことは、いかに熱量を持って自分の目標に向かって活動できるかどうかです。
ただし曖昧な理由で転職を繰り返すことは禁物です。勤続年数が短ければ、採用担当者は「この人を採用しても、すぐに辞められてしまうのではないか」と不安を抱えていまいます。
1つ目の職場がブラックな場合
よほどブラックな職場の場合は、入社3年以内だったとしても、自分の体と心のために転職したほうがいいでしょう。しかし3年以内で転職する場合、企業は「うちでも早く辞めてしまうのではないか」と採用に対して不安を感じます。企業の不安を払拭するために、次は長く働きたいという意思や転職する理由を前向きに伝える必要があります。
30代が転職するタイミング
30代の転職では、20代の転職と比べてより多くの経験や実績、スキルが求められるようになります。
管理職として実績を持っていると転職しやすい
30代の転職者には即戦力が求められています。そのため、過去の職務経験や実績が次の職場でどう活かせるのかをアピールする必要があります。
特に、30代の転職者を管理職候補として採用する企業が多いです。過去の職場での管理職やリーダーとしての経験や実績は、大きなアピール材料になります。30代で管理する役割を担ったことが無い人は、そうした経験を積んでから転職するのがおすすめです。
非管理職でキャリアアップをしたいなら、知識や技術の専門性を高めてから
非管理職として現場仕事でキャリアアップをしたい人は、知識や技術の専門性を高めてから転職しましょう。安く雇用できる20代よりも30代の自分を採用する利点を企業に納得させる必要があるからです。
ITエンジニアや営業、デザイナーなど「あなただからこそ仕事を任せたい」と言われるくらいのスキルや実績があれば年令を重ねていても現場に居続けられるでしょう。キャリアアップ、収入アップのために、日頃から知識やスキルのブラッシュアップに努めましょう。
損しないための転職タイミング
転職のタイミングによっては金銭面で損してしまう場合があります。損しないためには転職活動を始める前に、ボーナス、住宅ローン、失業保険について考えることをおすすめします。
ボーナス
ボーナスが支給される前のタイミングで転職の意思を会社に伝えた場合、ボーナスが減額されてしまう可能性があります。会社や上司へ転職について話すのは、ボーナスが支給された後のタイミングにしましょう。そのためには現在の職場の就業規則を読んで、退職日の何日前までに申し出る必要があるのかをしっかり確認しましょう。また、新しい職場での勤務開始日も現職での退職を申し出る日から逆算しておく必要があります。
住宅ローン
住宅ローンの審査は勤続年数に一定の基準がある場合がほとんどです。そのため転職後よりも転職前の方が住宅ローンの審査に通りやすいです。さらに、転職前に住宅ローンを借りた方が、金利が低い、頭金が少なくてすむなどの条件面での利点もあります。住宅の購入や住宅ローンの借り換えを考えている人は、転職をする前に金融機関で相談するのがおすすめです。
また、住宅ローンの審査中に転職する人は必ず該当の金融機関へ連絡をしましょう。
失業保険
もしも転職先が見つからないまま退職する場合は、失業保険を受給しながら転職活動を進めましょう。ただし、失業保険は雇用保険に加入していた期間や退職理由で、受け取れる期間や受給の開始時期が異なるので注意してください。
自己都合で退職する場合
倒産や解雇ではなく、自らの申し出で退職する場合は自己都合退職という扱いになります。例外としてパワハラやセクハラ、給料の支払い遅延など正当な理由で退職する場合は、会社都合と同じ扱いになります。詳しくはハローワークで相談してください。
自己都合退職の場合の受給開始時期と受け取れる期間は次の通りです。
・受給開始時期
受給は3ヶ月の給付制限期間後に開始されます。
・受け取れる期間
受け取れる期間は雇用保険の加入期間の年数によって異なります。1年未満の場合は受給対象にならないので注意しましょう。
- 1年以上、10年未満の場合……90日間
- 10年以上、20年未満の場合……120日間
- 20年以上の場合……150日間
会社都合で退職する場合
倒産や解雇はもちろん、セクハラやパワハラ、事業所の移転による通勤困難などの正当な理由による退職も、会社都合と同じ規定で失業保険が支給されます。
・受給開始時期
会社都合で退職する場合は給付制限期間はありません。手続き終了から約1ヵ月後に実際の振込みが行われます。
・受け取れる期間
受け取れる期間は雇用保険の加入期間と年齢によって異なります。詳しくはハローワークインターネットサービスをご確認ください。
- 6ヶ月以上、1年未満の場合……90日間
- 1年以上、5年未満の場合……90~180日間
- 10年未満の場合……120~240日間
- 10年以上、20年未満の場合……180~270日間
- 20年以上の場合……240~330日間
上司に転職を伝えるタイミング
会社へはいつまでに退職を伝えるべきなのか就業規則や社内の慣例、ルールを確認しましょう。一般的に退職する1ヶ月~3ヶ月前には退職の意思を伝え、退職日や誰を後任者とするかなどを相談する必要があります。
まずは、直属の上司に「ご相談したいことがあります」とミーティングのアポイントメントを取りましょう。ミーティングでは退職の意思と理由、希望退職日を伝えて具体的な退職までの流れを決めていきます。
人事に関する会社の方針は機密事項の一つです。親しい同僚であっても転職することを伝えるのは、上司の許可を得てからにしましょう。
立つ鳥後を濁さず、引き継ぎはしっかりやりましょう。
円満に退社するためには業務の引き継ぎが肝心です。お客様や取引先はもちろん、同僚や上司に余計な不安や迷惑をかけないように、しっかりと計画を立てて引き継ぎするようにしましょう。引継ぎの計画は以下の流れを参考に組み立ててみてください。
- 自分が担っている業務を整理する
- 後任者の決定を上司に仰ぐ
- 後任者と業務の引き継ぎスケジュールをすり合わせ、実際に引継ぎをする
- 必要な場合は取引先へ後任者と共に挨拶しに行く
転職を成功させるために気をつけるポイントは以上です。収入やキャリアアップのための転職、未経験の仕事への転職、ライフイベントにあわせた転職は、それぞれ成功するために考えるべきことが異なります。あなたの目指す転職にあわせた計画をしっかり立てて、転職活動にのぞみましょう。