2020年には、ミレニアル世代(1980〜1999年生まれ)の人たちが、世界の労働者の3分の1以上を占めるといわれています。ミレニアル世代の価値観は団塊の世代の価値観と大きく異なっていて、さまざまなメディアで話題に上がっています。
今回はミレニアル世代のお金の考え方について紹介します。
目次
モノを所有ではなくシェアするミレニアル世代
ミレニアル世代のお金の考え方の特徴を紹介する前に、モノに対する考え方を紹介します。なぜならミレニアル世代のお金の考え方に影響を与えているからです。
ミレニアル世代の人たちは、モノを「シェア」する傾向が強いです。所有をする意識は薄れつつあります。車を所有せずに必要なときだけカーシェアリングサービスを使い、シェアハウスでは家族以外の人と暮らし、キッチンや居間を共有します。自分が要らなくなったいモノをフリマアプリで個人的に売買することもあれば、自分のスキルをスキルシェアサービスで販売することもあります。
所有からシェアへ考え方が変わっていったのは、経済に不安を抱えているからです。
ミレニアル世代がモノを所有しなくなったのは金銭的な不安から?
ジャパンネット銀行は、「ミレニアル世代に対する『シェアリング・エコノミー』に関する意識・実態調査」の結果を2018年2月に発表しました。この調査によると、ミレニアル世代はシェアリングサービスに対して「経済的」や「合理的」という意識を持っています。
ミレニアル世代の親はバブル景気の時期に働いていました。その時代は高級車やマイホーム、ブランド服など、ラグジュアリーなモノを所有することがステータス。しかしミレニアル世代は生まれたときから不景気な時代を過ごしています。
誰もが高収入を期待できる時代ではなく、大学へ通うために奨学金を使った人もいるでしょう。少子高齢化が原因で「年金や社会保障に頼れなくなるのでは」と多くの人が不安を抱えているはずです。
社会背景から金銭的な不安を常に抱えるミレニアル世代。コスパのいいサービスを利用して、出費を抑えようとする意識があるのではないでしょうか。例えば、公共交通機関が便利な都市部では、大枚をはたいて車を購入し、維持し続けるとコストが掛かります。一方、車を利用したいときだけ、UBERやAnycaなどのライドシェアサービスを利用するのはコストを削減できるので合理的です。
ミレニアル世代は自分にとって意味のあるものにお金を使いたい
ミレニアル世代には金銭的な不安から、コスパのいいサービスを使って出費を抑える傾向があると述べてきました。しかしミレニアル世代はケチではありません。モノや情報があふれる時代に生まれ育った彼らは、「自分の生活を豊かにするモノを購入する」という価値観をもっています。
ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるスタイルのサードウェーブコーヒーや、職人がこだわりを持っているクラフトビールなどがミレニアル世代の中で人気になりました。大量生産・大量消費ではないモノの中に、「手触り」を感じているのではないでしょうか。ミレニアル世代は、作り手の思いやストーリーなどの「手触り」を感じられるモノにお金を払う価値があると考えています。
お金に関するミレニアル世代の考え方4つの特徴
ミレニアル世代は金銭的な不安からモノをシェアするようになったと伝えてきました。そんなミレニアル世代のお金に関する考え方を、ジャパンネット銀行の『「ミレニアル世代」のマネー事情を調査 』を引用しながら紹介していきます。
※『「ミレニアル世代」のマネー事情を調査 』の調査対象は18~25歳の男女500名
ミレニアル世代の「お金の使い方」
ミレニアル世代の人は、現金よりも電子マネーやクレジットカードを使用する傾向があります。テクノロジーに対する感受性の強いデジタルネイティブなミレニアル世代ならではの結果ではないでしょうか。
今後、電子決済可能な店舗は間違いなく増えていくでしょう。現金を持たずに生活する日が来るかもしれません。
【ミレニアル世代のお金の使い方】
財布に入っている現金:平均10,479円
買い物でのクレジットカード使用率:77%
買い物での電子マネー使用率:77%
買い物でのスマホ決済サービス使用率:21%
出典:「ミレニアル世代」のマネー事情を調査|ジャパンネット銀行
また、ミレニアル世代が「ここ5年以内の買い物で、⼀番⾦額が⾼かったもの」は以下のとおりです。
【ここ5年以内の買い物で、⼀番⾦額が⾼かったもの】
「30万円/友⼈と⾏ったフランス旅⾏」(25歳・男性)
「45万円/留学費用」(21歳・⼥性)
「160万円/⾞」(24歳・男性)
「8万円/パソコン」(21歳・⼥性)
「2万円/友⼈とテーマパークへ遊びに⾏った」(21歳・⼥性)
「2万円/靴をプレゼントした」(21歳・⼥性)
「8,000円/先輩と⾏ったライブ」(23歳・男性)
出典:「ミレニアル世代」のマネー事情を調査|ジャパンネット銀行[/box]
高額な買い物には留学や旅行、車、パソコンが目立ちます。小額の買い物には、友人との交流やプレゼントなどが多く、人との付き合いにお金をかけていることが分かります。
高価なブランド品を買うよりも、自分に必要なモノや経験、人と過ごす時間のためにお金を使っている様子がうかがえます。
ミレニアル世代の「お金の貯め方」
ジャパンネット銀行の調査によると、ミレニアル世代で貯金をしている人は78%。多くの人が貯金をしています。貯金額を見てみると、30万円未満の人が43.2%、100万円以上の人は28.2%。大多数はあまり多くの額を貯金をしていませんが、1/4の人は100万円を超えています。
貯金の目的は趣味や旅行がトップにランクインしています。マイホーム購入や老後、病気に備えるなどの理由で貯金をしている人は多くありません。ミレニアル世代は自分にお金を使うために、貯金をしている人が多いといえるでしょう。
ミレニアル世代には学習意欲が高い人が多いです。そのため自分の成長につながる趣味に、お金や時間を使う人がいるという一面もあるかもしれません。
【ミレニアル世代のお金の貯め方】
貯金をしている人の割合:78%
貯金の目的:
1位→趣味
2位→旅行
3位→特に目的はない重視するのは貯金?投資?:「貯金」72%
投資・資産運用の経験:「ある」12%
出典:「ミレニアル世代」のマネー事情を調査|ジャパンネット銀行
ミレニアル世代の「お金の稼ぎ方」
ジャパンネット銀行の調査によると、ミレニアル世代は10年後の年収をだいたい430万円ほどと予測しています。700万円以上と答えた人は、調査対象の15%にとどまっています。日本の経済成長が鈍化している状況を極めてシビアに捉えているようです。
ミレニアル世代は、収入が大きく上がらないと思っています。収入を上げるために副業や複業をする人が増えていくかもしれません。
【10年後の予想年収】
平均430万円
出典:「ミレニアル世代」のマネー事情を調査|ジャパンネット銀行
ミレニアル世代の「お金に関する考え方」
ミレニアル世代には、買い物が大好きという人が多くいます。その一方、お金を貯めることに喜びを感じる人や、たくさんお金を使うのが怖いという人も同じくらいいるそうです。
必要なモノをだけを買い、それ以外では支出を抑えて貯金をするミレニアル世代の特徴が垣間見えます。
【ミレニアル世代の「お金に関する考え方」】
「買い物が⼤好きだ」 YES:75%、NO:25%
「お⾦を貯めるのは喜びだ」 YES:74%、NO:26%
「バリバリ稼ぎたい」 YES:70%、NO:30%
「たくさんお⾦を使うのが怖い」 YES:68%、NO:32%
「あまりお⾦に興味がない」 YES:17%、NO:83%出典:「ミレニアル世代」のマネー事情を調査|ジャパンネット銀行
ミレニアル世代のお金の考え方について解説してきました。ミレニアル世代は自分の生活を豊かにするものにこそ、「お金を払う価値がある」と感じています。私は若いうちは貯金が少なくても問題ないと思っています。お金を使って自分に投資をすれば成長できるからです。
自分の生活を豊かにしたり、自分の成長につながったりする、本当に価値のあるモノを見つけましょう。それが、ミレニアル世代の上手なお金の使い方ではないでしょうか。