コメディアンのイライザ・シュレシンガーによる、スタンドアップコメディショーの感想をお届けします。「イライザ・シュレシンガーの私は長老ミレニアル」(2018)はNetflixで配信中です。
イライザは1983年生まれの35歳。ショーの中では、自身のことを「ギリギリミレニアル世代」と言っていました。ミレニアル世代の明確な定義はありませんが、1980年から1999年生まれの人を指すことが多いようです。
作品情報
原題:「Iliza:Elder Millennial」
公開年:2018年
上映時間:72分
ディレクター:スティーブ・パーレー
出演・エグゼクティブプロデューサー:イライザ・シュレシンガー
製作国:アメリカ
言語:英語
ジャンル:コメディ
私は、スタンドアップコメディをじっくり見たのはこれが初めてでした。ショーの感じはまるでTEDのよう。コメディですが、「まじめ:ふざけ=1:9」のような感じで、笑い一辺倒ではありません。1時間以上も観客の前でしゃべくり、笑いをとるイライザの姿は圧巻です。
※結構下ネタが多いです。嫌いな方は要注意。
「イライザ・シュレシンガーの私は長老ミレニアル」
本作品は、スタンドアップコメディアンであるイライザ・シュレシンガーが、ギリギリミレニアル世代目線で男女のお付き合いや女性ならではの行動や思考をバサバサと切っていきます。「初めて男性を家に入れる女性」の心境を”shedragon”(メスの竜)に例えて、竜の動きを真似しているイライザの姿が一番印象に残っています。
テクノロジーによる変化|パートナーの出会い
トークの始まりは、イライザの結婚の話です。旦那さんとの出会いは「デートアプリ」だそう。私が本作品で一番ミレニアル世代らしいな、と感じたポイントです。ミレニアル世代はデジタル機器の発展と共に人生を歩んできました。デートアプリで出会うのは、40代以上の親世代から見ると信じられないことでしょう。しかし、アプリでパートナーと出会うことは、一般社会になじみつつあると思います。
イライザは、デートアプリで出会うことは「創造性の欠如というより世代の産物。だってミレニアルだから。」と言いました。また、夫との出会いを尋ねられることにウンザリしているのをネタにショーを進めていきます。デートアプリで出会ったことは、決して恥ずかしいわけではないけど、クールではない、だからあまり語りたくないという彼女の話は、まさにミレニアル世代の象徴そのもの。
その後、彼女と同世代のアメリカ人なら慣れ親しんでいたであろう、サイドキックやスケッチャーズといったものの話題に。アメリカの文化に慣れ親しんでいない私たちからすると、面白さがよく分かりません。日本でいう平野ノラさんの笑いでしょうか。
アメリカで幼少期を過ごしたことのある人は、イライザの冒頭のトークで懐かしさを感じられるでしょう。
インスタグラムで美の概念すら変わる
インスタグラムを使用していないミレニアル世代の人は少ないでしょう。
イライザは、ショーの後半で自分の体の写真をインスタグラムに投稿する女性たちをネタにしています。インスタグラムでは、モデルに限らず一般人で体に自信のある人が写真を投稿しています。その写真を見て、「私はこんなにダメなんだ。」と思ったことがある人が多いのではないでしょうか。思ったことがある方、ぜひイライザのショーを見て欲しいです。
自分の体で気に入らない部分があるのは普通です。完璧な人を見てもキリがないです。インスタグラムでモデルの写真を毎日見ていてもモデルになれるわけではないですし。
真面目に語れる内容ですが、さすがコメディアン、イライザ。セルライトがあって、男性に嫌われるのではないかと気にしている女性が元気になるであろう、痛烈な「男切り」をしました。
総評
同じミレニアル世代の女性であれば、大爆笑間違いなしです。女同士のいざこざや男性が絡んだ時の友情関係の話もあります。大抵の女性が好きな話題ですね。イライザの喋り方やジェスチャーも見どころ。
男性が見ると……。にわかには信じたくない話ばかりでしょう。初めて家に行った時の女性の心情を知りたければ、ぜひ見てください。
総じて下ネタが多いですが、英語での下ネタを勉強したい人には非常におすすめ。イライザは自分のことを「ギリギリミレニアル世代」と言っていましたが、20代なりたてのミレニアル世代でも笑える内容です。