自分を知る
2018.09.10

EQ(こころの知能指数)とは仕事や私生活で成功するためのカギ

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BY 川村大和

EQ(こころの知能指数)という言葉を知っていますか? EQが高いと前向きな気持ちになれたり、感情の上がり下がりに左右されなくなったりして、人といい関係を築けます。EQは仕事をする上でとても大事な指標として認識されつつあります。今回はEQとは何かや認知されてきた背景、どのように伸ばせばいいかを紹介していきます。

EQとは?

EQ(Emotional Intelligence Quotient)は日本語で「こころの知能指数」と訳されます。簡単に説明すると、自分や他人の感情を理解し、また自分の感情をコントロールする心の知能(Emotional Intelligence、EI)を測定する指標です。

情動の知能指数。いわゆる「頭のよさ」を指し示すIQ(知能指数)に比した概念。IQがおもに「知能」の発達速度を示すのに対して、EQは仕事への取り組み姿勢や人間関係への関心の度合いなどを感情という視点から測定する指数。

出典:EQ|コトバンク(ASCII.jpデジタル用語辞典)

1980年代にアメリカの心理学者ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏が研究を開始。社会で成功するために必要なのはIQではなくEQだと述べています。1995年には心理学者のダニエル・ゴールマン氏が著書『Emotional Intelligence』を発表し、世間にEQという概念が広がっていきました。日本でも1996年に『EQ~こころの知能指数』(ダニエル・ゴールマン著、土屋 京子翻訳、1996年、講談社)という翻訳本が出版されています。

IQだけでは成功しない

社会で成功するためには高い知能(IQ)が必要だと考えられてきました。しかし、難関大学を卒業していても仕事ができない人はいます。

EQ研究のパイオニアであるピータ・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏は当時の主流であった「IQの高い人が社会的に成功する」という考え方に疑問を持ち調査を始めました。研究の結果「成功した人は対人能力に優れている」ことが分かりました。

もちろん成功するためにはIQの高さは必要です。しかしIQを最大限に活かすためには、EQを高めることが重要なのです。EQが低い人には以下のような特徴があります。

  • 思いやりがなく、他人の感情を理解できない
  • 感情をコントロールできない
  • ストレスを感じたらすぐに逃げてしまう

いくら技能が高くても、思いやりがなくて自分勝手な人は、仕事でいい結果を残せないでしょう。そんな人と一緒に仕事をしたいと思う人はほぼいないから協力を得られません。また、EQが低いと自分の感情をコントロール出来ないので逆境に弱くなります。

コミュニケーション能力や忍耐力、共感力、自制心など、社会や仕事で求められる能力にはEQが関係しています。IQでは測れない能力を鍛えることが、仕事で成功する上で重要です。

多くのアメリカ企業がEQの理論を取り入れている

ダニエル・ゴールマン氏は著書の中でEQの要素として「ミックスモデル」を提唱。彼のミックスモデルはアメリカの企業に大きな影響を与えています。ビジネス雑誌Fortuneはアメリカのトップ企業ランキング「Fortune500」を毎年発表。ランク入りしているトップ企業の大半が、何らかの形でEQを高めるための研究や教育を取り入れています。

アメリカを代表する多くの企業がEQの理論を取り入れているのは、経営陣が「EQはビジネスに効果的」と理解しているからでしょう。EQが仕事に役立つのは以下の2つのケースです。

  • 社内外を問わず人間関係が良好になる
  • 感情をコントロールすることで仕事のパフォーマンスが向上する

EQが高いと感情のコントロールが上手になり、他人の感情も理解しやすくなります。自分の気持をコントロールできれば、感情に振り回されることなく仕事に取り組めます。また他人の感情を理解できれば相手を思いやって行動できます。そのため、コミュニケーションが円滑になり、交渉がうまくいったり協力を得られやすくなったりするでしょう。

EQを理解する5つのステップ

EQを理解するにはダニエル・ゴールマン氏の「ミックスモデル」が有効です。ミックスモデルでは次の5つのステップで順番に感情をコントロールしていきます。

  • 自己の認識(Self-awareness)
  • 自己の制御(Self-regulation)
  • 内的な動機づけ(Internal motivation)
  • 共感する(Empathy)
  • 社会的能力(Social skills)

それぞれのステップについて解説していきます。

EQ理解のステップ1:自己の認識

自己認識とは、自分の感情を理解する能力です。どんなときに自分の気分が変わりやすいのか。自分の感情はどんな影響を受けやすいのか。どんなときに落ち込みやすいのか。まずは自分の感情が動くきっかけを理解しましょう。

自分の感情を理解できれば、自分が助けてもらいたいときや自信を持てるときなどが分かるようになるでしょう。

EQ理解のステップ2:自己の制御

自己の制御とは、感情の爆発を抑えて行動できる能力。つまり感情と行動をコントロールすることです。ストレスを受けて負の感情が生じたときに、一拍おいてから行動できるようになりましょう。感情に任せて衝動的に行動すると悪い結果につながりやすいからです。

会議やディスカッションで、他人と相いれなくて、論破したくなる場面があるかもしれません。また悲しいことや腹ただしいことが起こったときに、悲しみや怒りの感情にとらわれてしまうかもしれません。しかしまずは心を開きましょう。多様な意見や感情の変化を受け入れられる心構えが重要です。

EQ理解のステップ3:内的な動機づけ

内的な動機づけとは、行動の動機づけとなる情熱です。お金や地位などの外部的な報酬は、重要な動機づけではありません。自分の内部で生じる感情から、「人生で何が重要なのか」という視点での動機づけが必要です。

何をするときに楽しさを感じるのか、自分の好奇心はどこに発揮されるのかを自覚しましょう。自分が情熱を捧げられる動機から行動すれば、長期的にモノゴトに取り組めるはずです。

EQ理解のステップ4:共感する

3つのステップで自分を理解できるようになったら、他人を理解するステップです。共感とは、他人がどんな感情を抱くかを理解する能力。共感さえできれば、他人の感情を理解して適切な反応をとれます。

ステップ1〜3を重ねたら、自分の感情がどのように変化し反応するかが分かるはずです。他人も自分と同じようにさまざまな感情をもっています。他人の感情を想像し、思いやりを持てるようにしましょう。

EQ理解のステップ5:社会的能力

自己を理解して、他人を思いやれるようになったら最後のステップです。社会的能力とは、自分と他人の関係性を調整する能力。自分と他人の意見で共通している部分を見つけ、相違している部分があればすり合わせます。

感情のままにコミュニケーションをとったら、他人といい関係は築けません。お互いの感情を理解した上で、お落とし所を探す姿勢を持ちましょう。説得力の高さやリーダーシップの発揮が求められます。

EQの伸ばし方

EQを理解するための5つのステップを紹介しました。次は、EQを伸ばすための方法を紹介していきます。

これから紹介する方法は自分の意識と行動を少し変えるだけで簡単にできます。是非試してください。

自己認識の伸ばし方

自分を理解するためには、自分と向き合う時間を増やしましょう。以下の方法がおすすめです。自分が抱えている課題を確認することが重要です。

日記をつける

1日の終わりに、その日にあった出来事と、それに対してどのような感情を抱いたかを記録しましょう。あとから日記を見返したときに、感情の動きの傾向が分かります。

感情と合わせて、どんな行動をしたかも書き込むことをおすすめします。「感情のままに行動をして失敗した」なんてことがあれば、何に過剰反応したかも見つけられます。

人から意見をもらう

自分を理解するためには、知り合いから自分について教えてもらうことも重要です。

あなたの周りにいる人に以下のような質問をしてみましょう。

  • 私の長所と短所は何だと思う?
  • 私はどんなときに目が輝いている?
  • 私はどんなときにやる気を無くすと思う?
  • 私はどんなときに怒ったり悲しんだりする?

いろんな人からの意見を聞いて、感情の動きの傾向を探ってみましょう。予想外の答えから、自分の新しい一面を知れるかもしれません。

ただし、友人の意見が絶対ではありません。あくまで客観的な視点を得るための質問です。

自己制御の伸ばし方

感情をコントロールするためには、なぜその感情が生じたかを考える時間が重要です。また、感情に任せて行動をしないためのトレーニングをしましょう。

深呼吸をする

泣いたり怒ったり負の感情を感じたときに、人は衝動的に行動しやすいのではないでしょうか。思わず感情が爆発しそうになったら、深呼吸をする癖をつけてみましょう。

日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実氏は、「怒りのピークは長くて6秒。6秒をやり過ごせば怒りに任せて衝動的に行動しにくくなります」とNIKKEI STYLEの取材に答えています。

どんな感情を感じたときも、まずは一拍おきましょう。どんな出来事が起こり、自分の感情がどのように動いたかを確認できれば、適切な行動を取れるはずです。

ポジティブなボディランゲージを使う

人の体は不思議なもので「できるふり」をすると、脳が無意識に「できる」と思いこむそうです。社会心理学者のエイミー・カディ氏は「胸を張っていれば無意識に自信が湧いてくるし、背中を丸めていれば自信を失う」と、体と心に及ぼす影響をTEDで述べています。

日頃から笑顔を作るトレーニングをしてみましょう。笑顔を作っていれば人はポジティブな気分になれます。私は笑いながら声を荒らげて怒っている人を見たことがありません。

もしネガティブな感情が爆発しそうになったら、無理矢理にでも笑顔を作る。そうすれば感情をコントロールできます。

自分の表情を確認するために、鏡を身近においておくことも良い手段かもしれません。

内的な動機づけの伸ばし方

自分の内的な動機から行動できれば、いい結果が生まれるはずです。しかし内的な動機を見つけることは簡単ではありません。

EQのミックスモデルを提唱したダニエル・ゴールマン氏は、まず自分の価値観を見極めなければならないと述べています。自分の価値観を知るために以下の2つの方法を試してみましょう。

自分の人生を振り返る

自分は人生のターニングポイントで何を考えてどのような行動をしてきたかをリストアップしてみましょう。

  • 幼少期に執着していたこと
  • 学生時代に頑張ったこと
  • 受験期に何を考えたか
  • なんで今の仕事を選んだか
  • 友人とどんな話をしていたか

自分が積み上げてきた行動から、自分の人生のモチベーションが見つかるかもしれません。

やりたいことリストを作る

過去を振り返った後は、未来の自分を考えましょう。自分がやりたいことを箇条書きでどんな些細なことでもいいので書き出すことをおすすめします。ブロガーには「私がやりたい100のこと」というリストを作って公開している人もいますよね。

やりたいことリストは後から変更しても問題はありません。重要なのは、現在の自分は何を欲しているのかを確認する作業だからです。目標を定めて少しずつ達成のための努力をしていきましょう。

共感の伸ばし方

独りよがりにならずに共感できる人になるためには、他者を強く意識する必要があります。共感力を高める方法を紹介します。

傾聴力をつける

耳を傾けて熱心にきくことを傾聴といいます。相手が自分に語りかけているときに、話の背景まで想像できるくらい注意深く話を聞くクセをつけましょう。

相槌を打ったり質問をしたりすれば、相手の考えをより深く知れます。ただし、自分の意見を過度に主張するのは禁物です。まずは相手の主張を全て聞き入れる。この習慣が重要です。

相手の立場になって考えてみる

注意深く話を聞けるようなったら、相手の考え方や感情を想像してみましょう。なぜこの話をしているのだろう? どんな考えなんだろう? などと想像力を働かせることが重要です。

自分の意見とは異なる考え方が話題にのぼったときは「そのような考え方もあるのか」と考え方を受容すること。そうすれば相手と良好な関係を築けるでしょう。

社会的能力の伸ばし方

社会的能力は人生をかけて学ぶものだとダニエル・ゴールマンは述べています

社会的能力の一例
  • 社交的に話をする
  • 他人の気持ちを感じ取る
  • 他人の考えを理解する
  • 協調性を持つ
  • チームプレイヤーになる
  • 交渉がうまい

社会的能力の取得は時間と労力がかかるので、一朝一夕には伸ばせません。まずはお手本となる人を見つけて、模倣から始めることをおすすめします。

私は学生時代人と話すことが苦手でした。しかし、社交的な友人を真似しているうちに、「君は社交的だね」と周りから言われるくらい人と話すことが得意になりました。

社会的能力を伸ばす一例として、私が社交性を高めるためにしたことを紹介します。

笑顔で挨拶する

人と気持ちの良い会話をするためには、第一印象が大事だと思います。「自分は心をひらいていますよ」ということをアピールするために笑顔での挨拶を心がけていました。

会話が苦手なときはこわばった顔で話しかけてしまってて、相手の表情も明るくなく、会話は続きませんでした。笑顔で話しかけるのを意識し始めたら、相手の表情も柔らかくなって、驚きましたね。

表情一つで自分の印象や雰囲気が変わります。

会話を始めた瞬間から質問を考える

私は会話を始めた瞬間から、相手への質問を考え始めます。仕事が話題であれば、まずざっくり何が大変か、何が楽しいのかという大枠の質問をします。

相手が詳しく話してくれたら、その情報を掘り下げられる質問を考えます。目を見てうなずきながら話を聞いていると、相手は気分が乗ってきていろいろ話してくれるようになります。

実はわたしは自分の話があまり得意ではありません。社交的だねと言われるようになってからも、自分の話はあまりしません。

ただ、話を聞いてくれる人というキャラクターを作りました。それでも「社交的」という評価がついています。相手の話を本気で聞いてコミュニケーションを取ることが大事なのだと実感しています。

自分の考えをピンポイントで話す

これまで、話を聞いて質問をすることを徹底してきたとお伝えしてきました。しかし、話を聞いているだけでは相手の信頼は得られません。自分の考えを話す必要があります。考え方を伝えなければ、自分がどんな人かを相手に理解してもらえず、興味も持ってもらえないからです。

私が会話するときは、相手の話を7割聞いて、自分のことは3割話します。相手の話の面白い部分で「面白いですね、私はこう思います」と考えを伝えます。

どんなに自分の話が苦手でも相手の話を基に自分の意見を考えることはしたほうがいです。一方通行の会話だと相手が疲れてしまいます。また何も意見を伝えないと「何も考えていない人だ」という印象を与えてしまいます。

 

 

EQに関する理論や、伸ばし方を紹介してきました。仕事をする、家族と過ごす、学生生活を送る。どんなときにも、人と関わずにはいられません。EQが高ければ、いろんな人といい関係を構築できます。

まずは自分がどんなことに心を動かされるのかを知ることから始めましょう。そうすれば他人を思いやる余裕ができて、仕事も私生活もうまくいくはずです。

最終更新日
2018.09.10

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